子供の運動器の健康を守ろう! – ロコモ予防は子供時代から

こどもの運動はなぜ大切?

目次

―― スポーツ庁の調査から考える、一生モノの体づくり ――

こんにちは。〇〇整形外科クリニックです。

今回は、お子さんの健やかな成長に欠かせない「運動」の重要性について、スポーツ庁が毎年実施している**「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」**の結果を交えながら、整形外科医の視点で分かりやすくお伝えします。


日本のこどもたちの体力に「二極化」の波?

スポーツ庁の調査(小学生・中学生を対象とした体力テストや生活習慣調査)から、現代のこどもたちのリアルな現状が見えてきました。

  • 運動習慣がある子ほど、体力が高いという明快な結果。
  • 一方で、**「よく動く子」と「ほとんど動かない子」の差が拡大(二極化)**している。
  • コロナ禍以降、スクリーンタイム(スマホ・ゲーム)が増え、外で遊ぶ時間が減少傾向にある。

いま、こどもたちの体には何が起きているのでしょうか。


整形外科医が「運動が大切」と断言する3つの理由

1. 「骨の貯金」と丈夫な関節を作る

成長期の骨は、適度な「衝撃(刺激)」を受けることで、密度が高まり強く育ちます。 ジャンプする、走る、踏ん張るといった動きは、将来の骨粗鬆症予防にもつながる「一生モノの骨の貯金」です。

2. ケガをしにくい「身のこなし」が身につく

体力テストの結果が低い子ほど、実は日常の何気ない動作でケガをしやすい傾向があります。

  • 筋力不足: 関節を支えられず捻挫しやすい。
  • 柔軟性の低下: 体が硬く、転んだときに大きな怪我になりやすい。 運動を通じて「自分の体を思い通りに動かす経験」を積むことが、最大の防衛策になります。

3. 姿勢を支える「体幹」が育つ

運動不足は、姿勢を保持する筋力の低下を招きます。 「すぐ椅子からずり落ちる」「猫背がひどい」といったお悩みも、実は全身を動かす遊びの中で体幹が鍛えられることで改善されるケースが多いのです。


「スポーツ」じゃなくても大丈夫!

保護者の方から「うちの子は運動神経が良くないから…」という声を伺いますが、特別な競技を始める必要はありません。スポーツ庁の調査でも、日常の「運動遊び」に十分な効果があることが示されています。

  • 公園遊び: 鬼ごっこ、ボール遊び、遊具。
  • 移動を運動に: 少し遠くの公園まで歩く、自転車に乗る。
  • 家の中で: ダンス、ストレッチ、親子で「ケンケンパ」。

まずは1日合計60分、心拍数が少し上がる程度の時間を積み重ねてみましょう。


【Q&A】親御さんからよくある質問

Q1:運動をさせすぎると、関節を痛めたり背が伸びなくなったりしませんか? A1: 基本的に「遊び」の範囲で背が止まることはありません。適度な運動は成長ホルモンの分泌を促し、むしろ成長にプラスです。ただし、特定の部位を酷使するハードな練習(投げすぎ、走りすぎ)は「過使症(オーバーユース)」を招くため、痛みがある場合は早めにご相談ください。

Q2:うちの子、体がとても硬いのですが、将来何か影響はありますか? A2: 体が硬いと関節の可動域が狭まり、筋肉が引っ張られて痛み(成長痛など)が出やすくなります。また、将来的に腰痛の原因になることも。お風呂上がりのストレッチを親子で習慣にするだけでも、ケガの予防に大きな効果があります。

Q3:最近「子供のロコモ」という言葉を聞きますが、どんな状態ですか? A3: 「片足で立てない」「しゃがみ込めない」など、かつての子供が普通にできていた動作ができない状態を指します。当院では、こうした運動機能のチェックも行っています。「うちの子、動きがぎこちないかも?」と少しでも感じたら、お気軽に見せに来てくださいね。


整形外科クリニックからのメッセージ

私たちは、痛みが出てから治すだけでなく、痛みのでない、健やかな体を育てるサポートをしたいと考えています。

「姿勢が気になる」「歩き方がおかしい気がする」「運動させたいけれど痛がっている」 どんな小さなお悩みも、整形外科の専門的な視点からアドバイスさせていただきます。お子様の輝く未来のために、今できることから一緒に始めていきましょう。


参考資料 スポーツ庁「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」

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この記事を書いた人

日本整形外科学会認定整形外科専門医・スポーツ医・リハビリ医
日本リウマチ学会認定リウマチ専門医・指導医
日本骨粗鬆症学会認定医
日本リウマチ財団登録医

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