頚椎性神経根症(首が原因で起こる肩甲骨・腕・手のしびれや痛み)

目次

首を反らすと痛い・片腕がしびれる方はご相談ください

「最近、上を向くと首から腕にかけて電気が走るような痛みがある」「デスクワーク中に腕がだるく、しびれてくる」 もし、このような症状でお困りであれば、それは「頚椎症性神経根症(けいついしょうせいしんけいこんしょう)」かもしれません。

当院では、脊椎(背骨)の専門的な知識に基づき、正確な診断と、痛みを早期に取るためのブロック注射やリハビリテーションを行っています。

このような症状はありませんか?

  • 上を向いたり、うがいをする姿勢をとると、首や腕に痛みが走る
  • 首から肩、腕、指先にかけて「しびれ」や「だるさ」がある
  • 特定の姿勢で腕の力が入りにくい
  • 肩甲骨の内側あたりにも痛みを感じる
  • 痛み止めを飲んでも、なかなか症状が改善しない

目次

  1. 頚椎症性神経根症とは
  2. 診断・検査について
  3. 当院での治療(投薬・リハビリ・ブロック注射)
  4. 手術が必要な場合と予後について

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1. 頚椎症性神経根症とは

首の骨(頚椎)は加齢とともに変化します。骨の角が変形して「骨棘(こつきょく)」ができたり、クッションの役割をする「椎間板」が薄くなったりします。

頚椎症性神経根症とは、こうした加齢変化によって、首の骨の隙間から腕に向かって伸びる神経の枝(神経根)が圧迫・刺激されて起こる病気です。

どんな人に多い?

  • 中高年の方(加齢変化が主な原因ですが、30代〜40代でも見られます)
  • デスクワークやパソコン作業で長時間同じ姿勢をとる方
  • 過去に激しいスポーツや肉体労働をしていた方

ポイント:脊髄症との違い 似た名前に「頚椎症性脊髄症(せきずいしょう)」がありますが、これは神経の大元(脊髄)が圧迫される病気です。脊髄症の場合は、手先の細かい作業ができなくなったり(ボタンがかけにくい)、歩行障害が出たりします。神経根症は、片側の腕や指の痛み・しびれが主症状であることが特徴です。


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2. 診断・検査について

正確な診断のためには、問診と身体所見、そして画像検査が不可欠です。

身体所見(スパーリングテスト・ジャクソンテスト)

首を患側に傾けて圧迫を加えることで、腕に放散する痛み(放散痛)が誘発されるかを確認します。これにより、どの神経が圧迫されているかをおおよそ推測します。

画像診断(レントゲン・MRI)

  • レントゲン検査: 首の骨の間隔が狭くなっていないか、骨棘(骨のトゲ)ができていないかを確認します。
  • MRI検査: レントゲンでは写らない「神経」や「椎間板」の状態を詳細に確認します。神経がどこで、どの程度圧迫されているかを確定診断するために非常に重要です。

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3. 当院での治療(投薬・リハビリ・ブロック注射)

頚椎症性神経根症は、適切な「保存療法(手術以外の治療)」を行えば、多くの方が治癒または症状をコントロールできる病気です。 当院では、患者様の痛みの強さや生活背景に合わせて、以下の治療を組み合わせて行います。

① 薬物療法(お薬)

単なる痛み止め(NSAIDs)だけでなく、神経の興奮を抑えるお薬(神経障害性疼痛治療薬)や、筋肉の緊張を和らげるお薬、ビタミンB12製剤などを適切に処方します。

② リハビリテーション(理学療法)

痛みに応じて個別にリハビリテーションを開始します。

  • 頚椎牽引(けんいん): 専用の機器で首を優しく引っ張り、神経の圧迫を軽減させます。
  • 運動療法・徒手療法: 理学療法士が、首や肩甲骨周りの筋肉の緊張をほぐし、神経への負担がかかりにくい姿勢指導を行います。ストレートネック気味の方への姿勢改善も重要です。

③ 神経根ブロック注射

「薬を飲んでも痛みが引かない」「夜も眠れないほど痛い」 という方には、ブロック注射が非常に有効です。

  • どのような治療か: 圧迫されて炎症を起こしている神経の根元付近に、直接、局所麻酔薬と抗炎症薬(ステロイド)を注入します。
  • 効果: 強い抗炎症作用により、神経の腫れを鎮め、劇的に痛みを緩和させることが期待できます。

当院のこだわり 当院では、解剖学的知識に精通した医師が、安全に配慮して超音波ガイド下にブロック注射を行います。痛みの悪循環(痛いから動かさない→血流が悪くなる→さらに痛む)を断ち切るために、タイミングを逃さず提案させていただきます。


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4. 手術が必要な場合と予後について

ほとんどの方は当院の治療で改善します

頚椎症性神経根症は、数ヶ月単位で自然軽快することも多い疾患です。当院での投薬、ブロック注射、リハビリテーションを継続することで、手術をせずに日常生活に支障がないレベルまで回復される方が大多数です。

手術をご紹介するケース

しかし、以下のような場合は手術治療を検討する必要があります。

  1. 保存療法を数ヶ月続けても、耐え難い痛みが続く場合
  2. 腕や指の力が明らかに入らなくなる「麻痺(まひ)」が進行している場合
  3. 筋肉が痩せてきてしまった場合

このような場合には、手術用顕微鏡や内視鏡を用いた高度な手術が可能な、連携している基幹病院や脊椎専門の医療機関を速やかにご紹介させていただきます。 紹介状(診療情報提供書)を作成しますのでご安心ください。

【Q&A】頚椎症性神経根症についてよくある質問

診察室で患者様からよくいただくご質問をまとめました。

Q1. どのくらいの期間で治りますか?

A. 個人差はありますが、数週間から3ヶ月程度で症状が落ち着くことが多いです。 頚椎症性神経根症は、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、徐々に痛みが引いていく傾向があります。激しい痛みはずっと続くわけではありません。 焦らずに、投薬やリハビリで炎症を抑えていくことが早期回復への近道です。

Q2. どんな枕を使えばいいですか?

A. 首の骨の自然なカーブを保てる高さの枕を選びましょう。 高すぎる枕は首が前に折れ曲がり、低すぎる枕は首が反ってしまうため、どちらも神経への負担となります。 寝返りが打ちやすく、横向きに寝たときに背骨が真っ直ぐになる高さが理想です。当院ではリハビリテーションの一環として、枕の高さ調整やアドバイスも可能ですのでご相談ください。

Q3. 整体やマッサージに行ってもいいですか?

A. 強い力でのマッサージや、首をボキボキ鳴らすような施術は控えてください。 自己判断で強いマッサージを受けると、炎症が悪化したり、神経の損傷を招いたりするリスクがあります。 まずは整形外科でMRIやレントゲンによる正確な診断を受け、医師の指示のもとで医療機関でのリハビリ(理学療法)を受けることを強くお勧めします。

Q4. 日常生活で「やってはいけないこと」はありますか?

A. 首を後ろに反らす動作(上を向く動作)は避けてください。 天井を見上げる、高いところの物を取る、美容院での洗髪、うがいをする姿勢などは、神経の通り道を狭くし、痛みやしびれを悪化させる原因になります。 また、スマートフォンを長時間うつむいて見る姿勢も首への負担が大きいため、こまめに休憩をとりましょう。

Q5. 痛みがあっても運動はしていいですか?

A. 激しい痛みがある急性期は安静が必要です。 痛みが強い時期は、ジョギングやゴルフ、テニスなどの首に衝撃が加わるスポーツは控えてください。 痛みが落ち着いてきたら、ウォーキングなどから再開し、徐々に体を慣らしていきましょう。再開のタイミングについては、診察時に医師にご確認ください。


院長からの一言

首の痛みや腕のしびれは、日常生活の質(QOL)を大きく低下させます。「そのうち治るだろう」と我慢せず、まずは原因をはっきりさせることが大切です。 当院では、痛みを止めるだけでなく、「なぜ痛くなったのか」を考え、再発予防のリハビリまでしっかりとサポートいたします。

つらい症状でお悩みの方は、どうぞお早めにご相談ください。

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この記事を書いた人

日本整形外科学会認定整形外科専門医・スポーツ医・リハビリ医
日本リウマチ学会認定リウマチ専門医・指導医
日本骨粗鬆症学会認定医
日本リウマチ財団登録医

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