肩こりでお悩みの方へ|ただの疲れだと思っていませんか?

こんなお悩みはありませんか?
肩が重くて仕事に集中できない
肩が凝って、マッサージに何回も通っているがすぐに戻ってしまう
最近、痛みやしびれも出てきた。
「肩こり」は多くの原因が複雑に絡み合うサインです

肩こりは非常に身近な症状ですが、医学的には「筋肉の疲れ」だけでは説明できないケースが少なくありません。整形外科では、首の骨(頚椎)・神経・肩関節・肩甲骨・姿勢・筋肉が複雑に連動して起こるサインとして捉え、科学的根拠に基づいて診察します。
日本整形外科学会の指針:肩こりの診療では、問診・触診・神経学的診察・頚椎や肩関節の病気のチェックを行い、必要に応じてX線(レントゲン)・MRI・筋電図などの検査を検討するとされています。
「揉んで終わり」にするのではなく、「なぜ凝るのか」という根本原因を見極めることが大切です。
このような症状はありませんか?
以下の中に、ご自身に当てはまる症状はありますでしょうか。一つでも該当する場合、背景に整形外科的な疾患が隠れている可能性があります。
- 肩こり・首こりが何週間も慢性的に続いている
- デスクワークやスマホ操作をしていると、だんだん悪化してくる
- 朝起きた瞬間から、すでに首や肩が重苦しい
- 肩こりがひどくなると、頭痛や吐き気がしてくる
- 肩を上げようとすると痛む、または一定以上上がらない
- マッサージや整体では一時的にしか楽にならない
- 腕や手にしびれ・ピリピリ感がある
- 手に力が入りにくく、お箸やボタンが使いづらい
- 夜、肩の痛みで目が覚める(夜間痛)
特に×印の3項目はただの肩こりに見えても、背景に頚椎症・頚椎椎間板ヘルニア・五十肩・腱板損傷・胸郭出口症候群などが関係していることがあります。
そもそも肩こりとは?肩こりに関連する筋肉・骨

| 関連する主な筋肉 | 関連する骨格・神経 |
| 僧帽筋(首から背中を覆う大きな筋肉) | 頸椎(首の骨)、胸椎(背中の骨)、肩甲骨 |
| 肩甲挙筋(肩甲骨を引き上げる筋肉) | 肩甲骨、肩関節 |
| 大・小菱形筋(肩甲骨を内側に寄せる筋肉) | 肩甲骨、肩甲背神経 |
日本臨床整形外科学会より:「肩こりは頚椎疾患からくることが多く、また五十肩などの肩疾患が原因となることもあるため、原因に基づいた的確な治療が重要である」
肩こりを引き起こす主な原因
筋肉・筋膜性の症状(一般的な肩こり)
長時間のデスクワーク・スマホ操作・運転など、同じ姿勢を続けることで首から肩の筋肉が持続的に緊張し、血流が低下して痛みの物質が蓄積します。猫背や巻き肩などの不良姿勢が定着すると、頭の重みが首・肩の筋肉にのしかかり、慢性化のループに陥ります。
頚椎症
加齢や長年の負荷によって首の骨に変形が生じたり、骨棘(骨のトゲ)ができたりする病気です。首の可動域が狭くなり、中高年以降の頑固な肩こりの大きな原因となります。
首を後ろに反らすと痛みが強くなるのが特徴です。
頚椎椎間板ヘルニア・神経根症
椎間板が飛び出したり、骨の変形によって神経の根元(神経根)が圧迫・炎症を起こす病態です。肩甲骨内側の激しい痛みや、腕・手先へのしびれを伴います。
頚椎症性脊髄症
脊髄そのものが圧迫される、特に注意が必要な疾患です。進行すると「箸が持ちにくい」「ボタンが留めづらい」「足がもつれる」といった症状が現れます。
五十肩(肩関節周囲炎)
「肩こりがひどくなった」と思って受診したら実は五十肩だったというケースは非常に多いです。放置すると関節が固まり(拘縮)、服の脱ぎ着・腕上げ・夜間痛に悩まされます。
当院での診断・検査
症状の経過だけでなく、お仕事の環境・スマートフォンの使用頻度・枕の環境・過去の病歴を伺い、「肩こり」という言葉に隠された本当の病態を切り分けます。
首・肩・肩甲骨の可動域を確認します。あわせて腕の感覚低下・筋力低下・神経反射の異常などを細かく評価します。
首の骨の並び(ストレートネック等)・椎間板の隙間の狭さ・骨の変形・骨棘・肩関節内の石灰沈着などを確認します。
レントゲンには写らない筋肉の病変・腱板の損傷・滑液包炎をリアルタイムに高精度で診断できます。当院では診察室でエコー検査を積極的に活用しています。
神経の強い圧迫・腱板の完全断裂が疑われる場合や、保存療法で改善がみられない場合は、速やかにMRI検査を手配します。

当院での治療方針
当院の目標は、一時的に痛みを和らげることだけではありません。「再発しにくい正しい身体の使い方を取り戻すこと」をゴールに据えています。
スマホ首・猫背は首に数十キロの負担をかけ続けます。ディスプレイや椅子の高さ調整、スマートフォンの持ち方など、日常生活で実践できる具体的なアドバイスを行います。
・消炎鎮痛薬(痛みの物質を抑える)
・筋緊張緩和薬(凝り固まった筋肉を緩める)
・神経障害性疼痛治療薬(ピリピリする神経の痛みを鎮める)
・漢方薬・外用薬(湿布・塗り薬)
慢性的な肩こり・首こり治療において最も本質的なアプローチです。首のインナーマッスル(深頚屈筋)の再教育・胸椎の柔軟性向上・肩甲骨を正しい位置で支えるための筋力強化などを行います。
エコーで見ながら、疼痛の原因部位に薬液をピンポイントで注入します。
国際的な治療指針(2017年頚部痛CPG):首の痛み・こりに対して、首の可動域運動だけでなく、肩甲胸郭・上肢の筋力強化、持久力運動を組み合わせることが強く推奨されています。当院ではピラティスなどのモーターコントロール理論も視野に、体幹・胸郭を含めた総合的な運動療法を提案します。
今日からできる!肩こりを予防・改善するための5つの習慣

肩こりに関するよくある質問Q&A
- たかが肩こりで整形外科を受診してもいいのでしょうか?
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大丈夫です。肩こりの陰に頚椎の変形・神経の圧迫・肩関節の炎症が隠れていることは非常に多いです。症状が持続するなら「これくらいで……」と我慢せず、お気軽に専門医にご相談ください。
- マッサージや整体に行ってもすぐ戻ってしまうのはなぜですか?
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表面の筋肉をほぐすだけで、根本にある疼痛の原因が解決していないためです。原因が残ったままではすぐ症状は戻っていきます。
- 肩こりと頭痛は本当に関係がありますか?
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関係があります(緊張型頭痛など)。首の後ろの筋肉がガチガチに緊張すると神経・血管が刺激され、頭の後ろから締め付けられるような頭痛を引き起こすことがあります。ただし、激しい頭痛・めまい・しびれ・ろれつが回らない等があれば脳神経専門の医者やERの受診が必要です。
- 肩こりに注射は効きますか?ボトックスの注射はやっていますか?
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病態により非常に効く場合があります。疼痛部位の炎症や神経の滑走をよくすると効果があることが多いです。ボトックスの注射は試行しておりません。一時的な効果はあると考えますが、当院は筋肉を活性化させていくことで治療するクリニックであるためです。
参考文献・エビデンス
- 日本整形外科学会 専門医のための診療指針・患者向けパンフレット「肩こり」
- 日本臨床整形外科学会(JCOA)各種疾患解説シリーズ「肩こり」
- Blanpied PR, et al. Neck Pain: Revision 2017 Clinical Practice Guidelines. J Orthop Sports Phys Ther. 2017;47(7):A1-A83.
- Doiron-Cadrin P, et al. Shoulder Rotator Cuff Disorders: A Systematic Review of Clinical Practice Guidelines. Arch Phys Med Rehabil. 2020;101(7):1233-1242.
